活動日期: 2025/12/15 (一)
時間: 2025.12.15(一)上午 10:30 - 中午 12:00 學習時數: 0 小時
地點: 行政大樓 7 樓 第三會議室
承辦單位: 外語學院
聯絡人: 林先生 0229393091 分機62572
聯絡人: 林先生 0229393091 分機62572
E-mail: yt.lim@nccu.edu.tw
講座姓名: 進藤修一教授
University of Osaka, Vice President for General Education
**本講座以日語進行,提供日-中口譯。
今日日本大學的發展趨勢:高齡化社會與三十年經濟停滯陰影下的社會歷史觀察
日本における大学・学生の動向:高齢化社会と30年にわたる経済停滞の影における社会史的考察
現代の日本社会は、少子高齢化、長期にわたる経済停滞、学力低下の問題、そしてグローバル化という四つの大きな変化に直面している。本講義は、これらの社会的要因がどのように大学と大学生の姿を変化させたのかについて、教育社会学の観点から検討するものである。
まず、人口動態は大学のあり方に深い影響を与えた。日本では1947年の第一次ベビーブーム、1973年の第二次ベビーブームをピークに出生数が減少し、1989年には120万人台、2024年には68万人へと大きく落ち込んだ。他方で大学進学率は急上昇し、1955年の7.9%から2009年には50%を突破、教育社会学でいう「ユニバーサル段階」に達した。大学数も1989年の499校から2024年には813校へと増加し、少子化にもかかわらず大学が拡大する構造が生みだされた。この結果、大学生はエリートから「大衆的学生」へと変質し、学力や社会階層、進学動機の多様化が顕著になったといえる。
次に、1991年の大学設置基準の大綱化は、戦後の大学に見られた教養教育中心の構造を大きく変えた。国立大学では教養部が廃止され、大学は科目の編成や教育内容に大きな裁量権を得た。学位の種類は79から700へと急増し、多くの大学で新学部・新学科が創設された。さらに、2004年の国立大学法人化と相まって大学間の競争が激しくなり、大学は独自性やブランド力を追求するようになった。一方で、教育の自由化の進展は、大学間や学部間で教育内容の質の差が拡大する要因ともなり、教育の質保証という課題を浮き彫りにもした。
第三に、学力政策の転換は大学教育に直接的な影響を与えた。1990年代に導入された「ゆとり教育」により授業時数が削減されたが、2006年のOECD学習到達度調査(PISA調査)で日本が順位を落としたことから「学力低下」論が社会で高まり、2007年には小中学校における全国学力テストが復活した。学力の可視化と比較が強まる中、学力格差や地域差が社会的な問題として認識されるようになった。また、ゆとり教育世代が大学に入学すると、基礎学力の不足が目に見える形となり、大学はリメディアル教育(補習)に取り組む必要が生じた。また、大学を国際化する政策が進む中、学力のグローバルな基準化も要求されるようになってきている。
さらに、経済状況の悪化も大学生の生活に大きな負担を与えている。バブル崩壊後の長期不況により平均所得は伸びず、若年層では非正規雇用が増加した。一方で私立大学の授業料は上昇を続け、2023年には平均95万9千円、入学金24万円となった。家計負担の増大により、学生はアルバイトに依存しがちになり、結果として学修時間の減少や生活不安の拡大が起きている。奨学金制度は改善されつつあるものの、経済格差が教育機会に影響する構造は依然として残っている。
以上のように、人口構造の変化、大学制度改革、学力政策、経済環境の四つは相互に連動し、現代の大学と大学生の姿を形成している。大学は社会の縮図であり、大学生は社会変動を最も敏感に反映する存在である。本講義では、これらの要素を複合的に捉え、大学という場を通して現代日本社会の構造的課題を示す。